高森明勅

「平成」から次の元号へ(2)

高森明勅

2016年 7月 31日

譲位(生前退位)が行われる際は、まず今上陛下が「譲位の詔書」
下されることになろう。

詔書には勿論、陛下ご自身のご署名(御名、ぎょめい)と
御璽(ぎょじ、“天皇御璽”
という4文字が刻まれた天皇の正式な印章)
が欠かせない。

それに内閣総理大臣などの副署が伴う。

詔書が下されたら、時を置かず神器(じんぎ)、
具体的には宮中にある草薙剣(
くさなぎのつるぎ)のご分身と
八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)
、及び御璽・国璽(こくじ、
“大日本国璽”
という5文字が刻まれた日本国の正式な印章)
新しい第126代天皇(今の皇太子殿下)のもとに移される。

この儀式は皇居の宮殿「松の間」で行われる。

儀式の名前は「剣璽(けんじ)等承継の儀」
(昭和までは、剣璽渡御〈とぎょ〉
の儀)。

これに先立って、宮中三殿の賢所(かしこどころ)にて、
新しい天皇が即位された由を皇祖に奉告する「賢所大前(おおまえ)の
儀」が行われる。

同日、元号法に基づき「元号を改める政令」が閣議決定され、
新しい天皇により決裁、
公布される(元号法は、元号を政令で定め、
皇位の継承があった場合に限り改めることを規定)。

そこに新元号が書き込まれている。

施行は翌日から。

この新元号が決まるプロセスを少し詳しく見ておこう。

その候補案はいつから準備され、どのように選ばれるのか。

続く)