高森明勅

ご譲位の行方

高森明勅

2017年 3月 3日

3月2日・3日、天皇陛下のご譲位を巡り、
衆参両院の正副議長が与野党の代表者を集めた全体会議。

この会議自体、民進党の野田幹事長が提案したもの。

そこでは、女性宮家の創設を含む皇位の安定的継承について
継続的に検討する
必要性で、全党の一致を見た。

菅内閣官房長官も「検討を先延ばしするべきではない」と明言した。

勿論、満点ではないが、評価すべき成果だ。

これは率直に言って、民進党の毅然たる姿勢があればこそ。

又、特例法“だけ”という、安倍政権が狙っていた選択肢も消えた。

更に、自民党の高村副総裁は
「『一代限り』というのは語弊がある。
将来の天皇の退位を否定しているものではありません」と言明。

譲歩の姿勢を見せている。

しかし「先例化」を織り込んでいるなら、
「恒久的なルール」が欠かせない。

でなければ、まさに「ルール無き先例化」に陥る。

どうしても典範本則の改正に行き着く他ない。

しかし与党側は、退位の要件の“1つ”に
「天皇のご意思」
を入れるのに難色を示し、
恒久制度化は困難としている。

だが何度も指摘しているように、これを全く除外したら、
“強制”
退位しか認めないという、皇位の尊厳を踏みにじる
仕組みにしか
ならない。

論外と言うべきだ。