高森明勅

立憲主義の正反対

高森明勅

2017年 1月 22日

先に自民党改憲案について触れた。

それを読んで、同改憲案が“綺麗に”立憲主義の
正反対になっている事実に、
気づいてくれた人たちがいるようだ。

立憲主義の要点は、前にも引用した伊藤博文の発言に
尽きているだろう。

「抑(そもそも)憲法ヲ創設スルノ精神ハ第1(は)
君権(君主の権力)
ヲ制限シ、第2(は)臣民(国民)ノ
権利ヲ保護スル二アリ」(『
枢密院会議議事録』第1巻)と。

これに対し、自民党は憲法尊重擁護義務について、
以下の改正案を打ち出した。

「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
2国会議員、
国務大臣、裁判官その他の公務員は、
この憲法を擁護する義務を負う」と。

国民は憲法を尊重しなければならない。

その一方、天皇(又は摂政)には
「尊重し擁護する義務」(現行条文)は、
一切なくなる。

非立憲主義的といより、明確に反立憲主義そのもの。

自民党は伊藤博文「以前」の憲法を目指している。

それは、もはや「憲法」ではあるまい。