高森明勅

GHQより酷い産経記者

高森明勅

2016年 12月 23日

拙著『天皇「生前退位」の真実』の中で
戦後憲法学はGHQより自虐的」という事実を指摘した。

その戦後憲法学の正統を受け継ぐ学者たちでも、
天皇陛下ご自身のご譲位について、ご本人のご意向に配慮すること
さえ、
憲法に抵触するというような極端な解釈はしていない
高橋和之氏、長谷部恭男氏、木村草太氏ら)。

ところが産経新聞はどうか。

エース記者の阿比留瑠比氏は、民進党の論点整理を批判して
堂々とこんなことを書く(
12月22日付)。

「陛下のご意向に寄り添おうという(民進党の)そうした姿勢は…
立憲主義にも反するのではないか」

開いた口が塞がらないとはこのこと。

産経は陛下のお気持ちを蔑ろにすることが「立憲主義」
だと
心得ているようだ。

亡きマッカーサーもびっくりするような暴論だ。

念のために言及しておけば、民進党の論点整理には

「『おことば』は…現行の皇室制度に具体的に触れておらず、
国政不関与を定めた憲法に抵触するものではない。
そのことを確認した上で、一般化した法律論議を行っていくという
考え方に立つべきである」

とも明言している。

阿比留記者は読まずに記事を書いているのか。

それとも読んでも理解できないのか。


憲法が「皇室典範」に拠るべきことを名指ししているのに、
一代限りの特例法でごり押しするやり方こそ、明らかに
立憲主義に反する」。

もはや産経新聞にとって、安倍政権に“忠誠”を尽くす為なら、
陛下のお気持ちも憲法も、
顧みる必要などないのか。