小林よしのり

山田太一の「五年目のひとり」に感動

小林よしのり

芸能・文化
2016年 11月 20日


山田太一はわしが長年注目し続けている作家だ。

昨夜「五年目のひとり」を見たが、俳優が全員上手くて、

素晴らしかった。

 

津波というものは、日常の中に突然、圧倒的な大量死を

もたらす。

妻も子供も親戚も友人もすべて失った男というのは、

確かにあり得るし、わしなら立ち直れるかどうか分からない。

 

だが、そんな男の立ち直りのきっかけを与えるのが、

娘と、うり二つの一人の少女というのが、メルヘンだな。

山田太一はリアリズムを描いているようで、実はメルヘンを

描いている。

 

クリント・イーストウッドもそうだが、歳をとると筋書きが

シンプルになっていくが、その分、重さが伝わる。

構成を複雑にしようとするのは若気の至りなのだろうか?

作り手の立場から色々考えてしまうドラマだった。