高森明勅

呆れ果てた「廃帝」というプラン

高森明勅

2016年 11月 20日

ご譲位を巡る有識者会議のヒアリングに呼ばれた1人は、
記者団の前で「退位後の天皇は前天皇と呼べば良い」と語ったようだ。

呆れ果てた暴言と言う他ない。

“前”天皇というのは、もはや天皇では“ない”、というだけの意味。

前総理とか、前校長とかと同じ。

つまり、天皇が皇位を退かれて、「太上天皇」という
新しい地位にお移りになるのを、
拒否している訳だ。

天皇を天皇でなくするだけ。

天皇を天皇でなくする(その上、太上天皇にもなられない)
ことを
普通、「廃位」という。

廃位された天皇は歴史上、畏れ多いことながら2例あり、
「廃帝」と呼ばれた。

本人が自覚しているかどうか知らない。

だが、彼の言っている事は、今上陛下を“廃帝”にせよ!
と主張しているに等しい。

昔なら血が流れても不思議ではない暴言だ
皇室にご迷惑になるので、今は勿論そのような事があっては
ならないが)。

今回のヒアリングは、全国民の中から(極めて少数しかいない)
反逆者」をわざわざ探し出して、政府が丁重に意見表明の場を
与えているのか。