高森明勅

有識者会議ヒアリングへの感想

高森明勅

2016年 11月 8日

11月7日、ご譲位を巡る有識者会議の第1回ヒアリング。

5人の「識者」が意見を述べた。

それぞれの主張について改めてコメントするには及ばないだろう。

そのまま頷けるものは1つもなかった。

ただ、会議のメンバーの質問に興味を惹かれた。

戦後の天皇は祈る一方で国民と苦楽を共にし、
国民の信頼を得ることが重要であると考えており、
国民の9割もそれを支持している。この状況をどう考えるか」

現代の天皇はメディアを通じてその行動を国民から常に
見られてい
るという点で、過去の天皇と同一に考えることはできない
と思うが、
どう考えるか」
(平川祐弘氏への質問、但し前者は「戦後の」
と限定する根拠はない)

「今の国民は象徴天皇の在り方について、天皇陛下を通じて認識、
経験してきており、
能力は問わないという天皇の在り方は、
このような国民の感覚との間にギャップがあると思われる。
どう考えるか」
(古川隆久氏への質問、但し「能力」
という語は必ずしも適切では
ない)

国民世論は公的行為を行うことが象徴天皇の役割ととらえ、
退位を支持しているが、どう考えるか」

人道的側面から考えるべきではないかという見解もあるが、
どう考えるか」
(大原康男氏への質問)

これらの質問には、陛下のお気持ちと国民の素直な受け止め方を、
なるべく重んじようとする健全な態度が見られる。

一方、ヒアリングを終えて記者団に取り囲まれた平川氏
皇室典範も読まず、不遜にも皇太子・同妃両殿下を侮辱した人物)
は、カメラの前で
「(天皇陛下が)
ご自分で定義された天皇の役割を果たせないから
退位したいという
のはおかしい」
と言い放った。

陛下に対し公然と罵(ののし)って見せたのだ。
国民としての最低限のたしなみすら失った、
この無礼さは許し難い。