高森明勅

大嘗祭より観光客?

高森明勅

2017年 8月 26日

産経新聞(8月25日付)を
読んで呆れた人も多いのではないか。

一面に大きく(全面の3分の1位のスペースで)
「観光痛手 皇居東御苑 長期休園か
大嘗祭に合わせ、31年夏から冬」という記事。

カラーの写真や地図、グラフ入り。

そのポイントはこういう事だ。

ご譲位による新しい天皇のご即位に伴い、
重要な皇位継承儀礼の1つとして大嘗祭が行われるものの、
それが前例通り皇居東御苑で行われると、
同御苑の長期休園を余儀なくされ、観光に痛手だ、と。

おいおい、皇居を何だと心得ている。

皇居は言う迄もなく天皇陛下のお住まい。

国有財産の中でも、
特に「皇室用財産」とされるものの、
中心的な位置にある。

専ら皇室のお役に立つのが第一義。

その一部(東御苑)を一般に公開して
戴いているだけでも有難い事。

なのに、皇室にとっても最も重大かつ神聖な大嘗祭を、
皇居内で(!)
前例通りに(!)行うのが迷惑とは。

天皇陛下の一世に一度の大嘗祭より
観光客の方が大事なのか。

どこまで勘違いして、
付け上がれば気が済むのか。