高森明勅

メタモルフォシス

高森明勅

2017年 8月 3日

評論家の西部邁氏が先日、
近刊の『ファシスタたらんとした者』(
中央公論新社)
を送って下さった。

その西部氏が、同著を巡るインタビューの中で、
こんな発言をされている。

時折、『西部はブレない』なんて褒めてくれる方があるけれど、
僕からすれば全く嬉しくない評価ですよ。
昔はよく、
新宿の飲み屋街で

『おい西部、転向なんかして恥ずかしくないのか!』

なんて罵声を浴びせられたものだけど、僕は決まって言い返す。

俺はな、蝶なんだよ。変態してるんだよ』って。

シモーヌ・ヴェイユを見なさい。
スターリニストからトロッキスト、
アナキスト、カソリック…
彼女は15年間に何度も転向している。
物を考えているとメタモルフォシスしないなんて有り得ないんだ」と。

「俺は蝶なんだ」なんて普通、言えない台詞だ。

いかにも西部氏らしい。