高森明勅

アベノミクスは成功したか?

高森明勅

2017年 7月 16日

安倍政権の最大のセールスポイントは、
その経済政策だったはずだ。

いわゆるアベノミクス。

これは成功したのか、どうか。

理論経済学(マクロ経済学、金融政策)が専門の
服部茂幸氏の評価は、こうだ。

アベノミクスの真実は単純である。
日銀の異次元緩和はデフレ脱却にも、実体経済の回復にも失敗した。
延べ就業時間は微減か、
横ばいである。
就業者の増加は、短時間労働者が増加したことと、
労働生産性上昇率がほぼゼロになった結果である」

輸出拡大なき円安は、円安インフレによって、
実質賃金と家計の実質所得を削減した。
それによって、
消費が停滞する。
こうして円安による経済回復のルートは途絶えた」

円安は企業特に輸出企業の利益を急増させた。
しかし、企業、
特に巨大企業は、巨額の利益を設備投資や賃上げに
回さず、
内部留保に回している」

ーズベルト大統領は、ニューディールの評価はスーパーリッチを
よりスーパーリッチにす
ることではなく、貧困層の所得を改善するか
どうかにあると述べていた。
筆者はこのーズベルトの基準をアベノミクスの評価に使いたいと
思う。
そして、
ーズベルトの基準にしたがう限り、
アベノミクスは失敗である」
(『偽りの経済政策―格差と停滞のアベノミクス』)

安倍政権の殆ど唯一の看板政策がこの結果。

それでも、まだ安倍首相に期待するのだろうか。