高森明勅

国民主権の唯一の体現者たる天皇

高森明勅

2017年 12月 21日

天皇の「尊厳」の憲法上の根拠は何か。

それは、“主権”の主体とされる「国民」という概念を、
実際のお姿で体現し得る、
唯一の存在という事だ。

主権は一人一人の個別の国民にあるのではない。

それではバラバラで「唯一、至高」の主権たり得ない。

“個々の”国民は(主権の形成に参与し得る立場にあるものの)、
むしろ主権の下にある被治者に過ぎない。

主権の主体は、トータルな存在としての「国民」、
つまり「統合」
された存在としての国民だ。

「国民の総意」にこそ主権は宿ると言い換えても良いだろう。

それを一身において体現し得るのは憲法上、ひとり天皇のみ。

だから、天皇の尊厳とは「主権」の尊厳であり、
主権者たる「
国民」の尊厳だ。

天皇がそういう地位だからこそ、
国権の最高機関とされ、
唯一の立法機関である国会を、
より“
上位”の立場から「召集」し、
行政のトップの内閣総理大臣
と司法のトップの最高裁判所長官を
任命」し得るのだ。

天皇が憲法上、
「日本国」及び「日本国民統合」の唯一(!)
の「象徴」である以上、その尊厳の“
保持”は、
憲法そのものの要請と理解すべきだろう。

天皇の誕生日が「国民こぞって」
祝うべき「祝日」とされてい
るのも、
上記の文脈を踏まえてこそ、素直に理解できる。