高森明勅

事実と儀礼

高森明勅

2017年 11月 26日

今上陛下のご譲位と皇太子殿下のご即位。

この両者は「間髪を入れず」「即座に」「同瞬間」になされる。

だから、それぞれ“別の日”という事は、
憲法=皇室典範=特例法上、
あり得ない。

にも拘らず、政府のプランとして、
ご譲位の“翌日”にご即位という報道が、なされ続けている。

これは不可解。

ひょっとして、ご譲位に関わる儀礼(退位式?)
とご即位に関わる儀礼(剣璽等承継の儀など)が行われるのを、
別の日」にしようとしているのか。

そうであれば、その当否は一先ず別にして、一応あり得る。

しかし、誤解してはならないのは、
ご譲位もご即位も、何らかの儀礼に“
よって”、
初めて実現するのでは“ない”、という事。

そうではなくて、天皇が皇位を退かれたという
「事実」
が先ずあって、その事実を表示する「儀礼」が、
それに“伴う”。

新しく皇嗣が皇位に即(つ)かれたという事実があって、
それを表示する儀礼が伴う。

儀礼はあくまでも事実に伴うものだ。

その事実と儀礼の関係を、
あたかも退位式によってご譲位が実現し、
剣璽等承継の儀などによってご即位がなされるかのように、
転倒させて理解してはならない。

その上で言えば、両者の儀礼も、
やはり時間を隔てないで、同じ日に行うのが当然だろう。

先帝崩御後、時間を空けないで
(今上陛下の場合は約3時間半後)
剣璽等承継の儀などが行われて来たのと同様に。