高森明勅

衆院選「直前」のゴー宣道場

高森明勅

2017年 9月 28日

100%安倍首相の「自己都合」の衆院解散。

にも拘らず、憲法の規定(7条3号)により、
天皇陛下の「解散の詔書」
によってなされる。

まことに畏れ多い話だ。

安倍氏には、
その後ろめたさなど、爪の先ほどもあるまい。

詔書の文言は次の通り。

「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する。
御名(ぎょめい、天皇陛下の「明仁」というご本名が署名されている)
御璽(ぎょじ、天皇陛下の「
天皇御璽」と刻まれた印章が捺(お)
されている)

平成29年9月28日
内閣総理大臣 安倍晋三」

ところが中継を見ていると、
大島衆院議長は代読するに当たり、
「解散する」まで読んで、
止めてしまった。

肝心の「御名御璽」を省略したのだ。

それが他ならぬ「詔書」である自覚がないのか。

無礼の極み。

これで事実上、衆院選の選挙戦に突入。

安倍首相としては、民進党の山尾志桜里議員の離党で、
前原新体制が躓き、
イメージダウンしたこのタイミング“
しか”選挙に「勝てない」
と考えて、北朝鮮情勢の緊迫化をも顧みず、
姑息な「平和ボケ」
解散に踏み切った。

解散理由も、
2年も先の消費増税の使い方の変更を論点にするとか、
見え見えの後付け。

国民をどこまで舐めるのか。

しかし、
野党の選挙態勢は思いのほか早く整いつつあるようだ。

小池都知事が「希望の党」の代表に就任するや、
にわかにムードが変わった。

これまで「言うだけ番長」
揶揄されて来た前原氏の判断も、迅速だった。

個別の政策の是非はともかく、
自民党に代わって政権を担い得る政党が登場する事は、
長い目で見れば自民党にとっても良い事だろう。

民進党の駄目駄目ぶりから、
与党が過半数を確保するのは当たり前、
と見られていたのに、
ずいぶん風向きが変わった。

安倍政権が逃げ切るか、
自ら掘った墓穴に転げ落ちるか。

重大な選挙になる。

10月10日公示、22日投開票。

今回のゴー宣道場はその直前。

本来なら選挙戦で、各党が堂々と論戦を闘わせるべき
「憲法問題」
を真正面から取り上げる。

当然、目の前の政治情勢の分析もやる。

目が離せない道場になるぞ。

ちなみに、直近の朝日新聞の世論調査(9月26日、27日調査)
では、
安倍内閣の支持率は次の通り。
「支持する」36%(前回38%)

「支持しない」39%(前回38%)。