高森明勅

エマニュエル・トッド「核武装」の勧め

高森明勅

2017年 9月 18日

『朝日新聞』に「日本核武装の勧め」が載った事がある
平成18年10月30日付)。

と言えば、驚く人と、
「ああ、あれか」と思い出す人に、
分かれるだろう。

勿論、朝日新聞自体の論説ではない。

フランスの歴史家、
エマニュエル・トッドへのインタビュー記事だ。

タイトルは、そのものズバリ
日本に『核武装』を勧めたい」。

トッド氏の予想外の発言に対するインタビュアー
(若宮啓文氏)
の狼狽えぶりが面白かった。

それはともかく、いくつか発言を紹介しよう。

「核兵器は安全のための避難所。
核を持てば軍事同盟から解放され、
戦争に巻き込まれる恐れはなくなる」

戦後の日本は米国の弟で満足している。
中国やフランスのように同列の兄弟になることに
おびえがある。
広島によって刻まれた国民的アイデンティティーは、
平等な世界の自由さに対するおびえを隠す道具になっている」

日本も戦争への贖罪意識が強く、
技術・
経済的にもリーダー国なのに世界に責任を果たせないでいる。
過去を引き合いに出しての『道徳的立場』は、真に道徳的とは言い
がたい」

核を保有する大国が地域に2つもあれば、
地域のすべての国に『
核戦争は馬鹿らしい』と思わせられる」

これらの率直な発言は、
もう冷静に1度振り返ってみる
必要があるのではないか。