高森明勅

安倍「加憲」の支離滅裂

高森明勅

2018年 2月 6日

安倍首相寄りとされる産経新聞(2月6日付)の記事。

安倍晋三首相は5日の衆院予算委員会で、憲法9条の1、2項を
変えずに自衛隊を明記する自らの改憲提案について『
自衛隊の任務や
権限に変更が生じることはない』と述べた。
その上で『自衛隊が合憲であることは明確な一貫した政府の立場だ』
と強調し、改憲案が国民投票で否定された場合も自衛隊の合憲性は
変わらない』との認識を示した。

自衛隊の存在を憲法に明記する意義や必要性については『
命を賭して
任務を遂行している者の正当性を明文化し、
明確化することは、国の
安全の根幹にか関わる』と説明し、『
これは憲法改正の十分な理由に
なると考えている』と述べた」
もう支離滅裂。

憲法を改正しても、とっくに「合憲」である
自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」。

改憲案が国民投票で否定されても、自衛隊の合憲性は全く
変わらない」。

改憲が実現しても否定されても、何一つ「変わらない」。

それで、どうして「国の安全の根幹に関わる」「憲法改正の十分な
理由になる」という話になるのか。
まさに改憲の為の改憲、自己満足
的改憲と言うしかない。

もしそれが実現すれば悪夢だ。

わが国の個別的自衛権への事実上の制約は固定化され、
自衛隊は「戦力」
未満の非軍隊に押し込められ続ける。