高森明勅

来年の園遊会は?

高森明勅

皇室・皇統問題
2018年 10月 12日
時事通信が次のようなニュースを配信
(10月11日午後3時51分配信)。
 
「宮内庁の山本信一郎長官は11日の定例記者会見で、
例年4月に開催されている天皇、皇后両陛下主催の
春の園遊会について、来年は取りやめることを明らかにした。
 
4月末の陛下の退位を控え、
日程の確保が困難なことが理由。
このため、両陛下主催の園遊会は、
11月9日に実施される秋の園遊会が最後となる。
 
長官は、来年秋の恒例の園遊会についても、
皇太子さまの即位の礼や大嘗祭があることから、
実施は難しいとの見方を示した」と。
 
これだけを読むと、
来年は1度も園遊会が催されないように
受け取られかねない。
 
現に、そそっかしい新聞などは
以下のように報じている。
 
「新天皇、皇后のもとでの最初の園遊会は
再来年の春になる見通し」
(産経新聞10月12日付)と。
 
しかし、そんな事はい。
 
来年、園遊会は恐らく実施されるはずだ。
 
今上陛下の“前例”を振り返ると、
「恒例」では“ない”園遊会が催されると予想できるからだ。
 
今上陛下の場合、平成の「即位の礼」が行われた後、
大嘗祭が行われる前に、大礼(たいれい=即位の儀式)
関係の行事として園遊会が実施されている
(平成2年11月13日)。
 
この時の招待者は、
即位の礼に参列した外国元首や祝賀使節と
その配偶者など。
 
だから、来年も同じく大礼関係の行事として、
(10月の即位の礼挙行後、11月の大嘗祭執行の前に)
園遊会が催されるはずだ。
 
更に今回は、喪(も)に服す必要がない
ご譲位による皇位継承なので、
皇太子殿下が5月に即位された直後に、
別に園遊会を催すという選択肢もあり得る。
 
その場合の招待者は、
「即位後朝見(ちょうけん)の儀」に参列した
三権の長、国会、地方自治体の代表らになるだろう。
 
ちなみに来年は、
皇太子殿下のお誕生日である2月23日を
過ぎてご譲位がある。
 
その為に、この年だけ「天皇誕生日」が無くなる。
 
だから、広く国民が参加できる皇居での一般参賀は、
新年(1月2日)だけになってしまう、
 
と早合点する人がいるかも知れない。
 
だが前例に従えば、
やはり大礼関係の行事として、
即位の礼(と園遊会)の後、
大嘗祭の前に、一般参賀が行われるはずだ。
 
念の為。