高森明勅

慰安婦問題という「躓きの石」

高森明勅

政治・経済
2019年 9月 14日

日韓関係の躓(つまず)きの原因の大きな1つは「慰安婦」問題。
今の徴用工問題にも繋がっている。
だから、現代の日本人には同問題に対する正確な理解が必要だ。

この問題ついては「SPA!」最新号(9月17日・24日号)で
小林よしのり氏が漫画で分かりやすく整理しておられる。
さすがに問題が浮上した初期から最前線で戦ってこられただけあって、
僅か8ページで端的に核心を衝いておられる。
しかも、女性の尊厳への配慮と慰安婦問題の欺瞞を暴く事は決して対立したり、
矛盾したりするものではない事を、的確に指摘されているのも大切な点だ。
又、慰安婦自体が存在しなかったかのような、一部の無知な発言にも
釘を刺しておられる(慰安婦は確かに存在しており、問題の焦点は
「強制連行」の有無)。

終戦後の日韓関係を巡る未解決だった諸問題は(徴用工問題も含めて)
昭和40年の「日韓基本条約」及び付属協定で全て解決している
(但し竹島だけは棚上げ)。
慰安婦問題は、同条約締結に向けた長い交渉の間、韓国側から一度も
提起されていない。
元々、韓国にとっても慰安婦「問題」は存在しなかった証拠だ。
それが20年以上も経ち、時代が平成に移って俄(にわか)に問題化した。
その発端は吉田清治という人物の嘘の証言。
それが嘘だった事は、同証言を大々的に取り上げた朝日新聞も、
既に認めている。
本来、まともに取り上げるには及ばない話だった。
にも拘らず、わが国の政府は譲歩に譲歩を重ねて、かえって問題を長引かせ、
拡大させる結果になった。
日本国内に、韓国側の無茶な言い分に呼応し、むしろそれを煽(あお)る
勢力が存在した事実も、軽視できない。
全ては基本条約に付属する「請求権・経済協力協定」という“原点”に
立ち返る必要がある。
問題は(徴用工を含め)国際法上、とっくに「完全かつ最終的に解決」
(2条1項)しているのだ。

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