高森明勅

天皇から元号へ

高森明勅

皇室・皇統問題
2019年 9月 10日

日本教師塾の懇親会。
講義より踏み込んだ話題がしばしば。
その中から1つだけ紹介する。
私がこんな問いかけをした。

「“天皇”という称号が成立したのは、恐らく608年。
元号の起こりは645年。
もし、この順序が逆だったらどうなったか?」。
W先生が一瞬、考え込み、こう回答された。

「…中国の元号を使うことになった」と。

さすが。
まさに正解。
しばらくはシナの元号を使っていただろう。
このやり取りが直ちにピンと来た人は、「天皇」や「元号」についてある程度、
深い理解があるはずだ。
朝鮮半島の場合、その君主がシナ皇帝に従属する「王」の地位に長くとどまった。
なので、(初期の一時期を除き)シナ皇帝が定めた元号を使い続けた。
わが国でも、もし従属関係を解消した「天皇」という地位が登場していなければ、
(天皇が定めた)自前の元号を使うことは出来なかったはずだ。
元号はシナ(漢)で始まり、朝鮮半島や日本にも広がった。
だが、その受け入れ方は両者で正反対。前者では元号がシナ王朝に対する従属を
表示したのに対し、わが国の場合は独立の象徴だった。

講義内容の応用問題のつもりで質問してみた。
その場ですぐに正解が出たのは嬉しかった。
全く別件ながら、朝日新聞社の言論サイト「論座」で先ごろ公開された
倉持麟太郎弁護士の「アメリカのオケが法律家の僕に教えくれた事(上・下)」は、
読み応えがあり、共感できた。

 

【アメリカのオケが法律家の僕に教えてくれた事・上】
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019090600008.html

【アメリカのオケが法律家の僕に教えてくれた事・下】
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019090700001.html

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/