高森明勅

皇室典範特例法5条

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 3月 30日

皇室典範特例法5条に次のような規定がある。

「第2条の規定(天皇の退位及び皇嗣の即位ー引用者)
による皇位の継承に伴い皇嗣となった皇族に関しては、
皇室典範に定める事項については、皇太子の例による」

これは一体、何を規定しているのか?

「皇室典範に定める事項」とは何か?

実は皇室典範において、「皇太子」と皇太子でない
「皇嗣」の待遇上の違いを規定しているのは、
1ヵ所しかない。

以前にも紹介した11条2項、つまり皇籍離脱についての
規定だ(17条1項の摂政就任の順序については待遇の差を
生じない)。

“直系”の皇太子(及び皇太孫)だけは、例外として離脱の
可能性が全否定されていた。
この点が、皇太子(及び皇太孫)でない“傍系”の皇嗣とは
大きく異なっていた。
皇室典範では、伝統を踏まえて、皇位継承について「直系主義」
が採用された為だった。

従って、特例法で“敢えて”上記のような規定を設けなければ、
秋篠宮殿下に皇籍離脱の可能性を法的に残してしまう。
それを避けるべく、同規定が加えられることになった。
逆に言えば、こうした規定がことさら必要だったのは、

皇室典範自体は原則として、直系の皇嗣で“ない”場合、
たとえ皇嗣であっても、皇籍離脱の可能性を全ては
排除していないことを意味する。

皇位継承における直系の“重み”を銘記すべきだろう。

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