高森明勅

秋篠宮殿下ご即位辞退の可能性

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 2月 23日

平成31年4月21日付の朝日新聞は、秋篠宮殿下がご即位を辞退される
可能性について言及されたことを報じた。
一見、突飛な報道のように受け取られたかも知れない。
しかし、現在の皇室典範の規定のままでも、法的には不可能ではない
(第3条。園部逸夫氏『皇室法概論』57ページ)。
だから、極めて重大な報道だ。

しかし、宮内庁は結局、この報道を否定しなかった。
この件より、重大性において遥かに下回ると見られるケースでも、
厳格に否定して来ているにも拘らず。
この事実が持つ意味は重い。

しかも、秋篠宮殿下のご年齢は、天皇陛下より僅か“5歳”下でしかない。
天皇陛下がもし(この度の上皇陛下のように)85歳で譲位されたら、
その時は既に80歳になっておられる。
ご高齢になられた場合、健康状態の個人差は大きい。
畏れ多いが、過去には昭和天皇より4歳お年下の高松宮が、昭和天皇より
2年早く亡くなられたような例もあった。
客観的に考えて、80歳(又はそれに近いご高齢)になられてからご即位戴くのは、
現実的ではあるまい。

そうかと言って、秋篠宮殿下の為に、お元気な天皇陛下が早々と
譲位されるのは、この度の上皇陛下のご譲位とは趣旨が違ってしまう。
或いは、恣意的なご譲位とも見られかねない。
だから常識的には、秋篠宮殿下が実際に即位される可能性は、
実はかなり低いと見なければならないだろう。
皇位の安定継承への道を探る場合、そうした現実も冷静に
考慮しておく必要がある。

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