高森明勅

有識者会議は設けたくなかった

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 3月 20日

改めて言う迄もないかも知れないが、
政府は有識者会議を設けたくなかった。

「政府はこれまで、非公式に学識経験者らに接触し、
それぞれの意見を聞き取ってきた。
これを踏まえ、女性・女系天皇を実現するための法整備は
見送ることにした。
公の場で議論を行う有識者懇談会も設けない方向だ」
(読売新聞、令和2年2月16日付)と。

「公の場で議論を行う」ことになれば、皇位の安定継承を目指す
本格的な検討は避けられず、そうすると「女性・女系」について
封印する訳にはいかなくなる。
小泉純一郎内閣の有識者会議報告書を受けた法整備が、
逆風を受けて頓挫した経験が、政府にとってはトラウマになっている。
だから、退位特例法の附帯決議があるにも拘(かかわ)らず、
先延ばしを続けて来たし、極力、真正面からの議論からも
遠ざかろうとして来た。

水面下で画策した結果、逃げ切り策として捻(ひね)り出したのが
“皇女プラン”だった。

「政府は年内(令和2年)にも皇女の創設案を大島衆院議長に
報告する方向で調整している」
「女性皇族が結婚後も皇室にとどまる『女性宮家』の創設は見送る方向だ」
(読売新聞、令和2年11月24日付)と。
そのプランが事実上、潰されたので、遂に有識者会議を
設ける以外に手は無くなった。
その経緯はきちんと見届けておく必要がある。

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