高森明勅

国民の中に入って行く皇室

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 3月 1日

天皇陛下のお誕生日に際しての記者会見でのご発言と、
私が事前にロシア国営通信社「スプートニク」の取材に答えた内容が、
畏れ多いがかなり重なったことに、少し驚いた人もいたようだ。

しかし、陛下のこれまでのなさりようや、
“おことば”に常に注目していれば、(その深い思し召しはともかく)
お気持ちのごく一端をおぼろげに拝察申し上げることは、
皇室に心を寄せる国民であれば必ずしも不可能ではあるまい。

それでも、オンラインの「新たな可能性」を前向きに評価され、
“国民の為に”ご自身が活用できるツールならば、躊躇(ためら)わず
積極的に活用しようとされる、陛下の進取の気象に富むご姿勢は、
凡人の想像を越えておられた。
敬服の他ない。

陛下はお若い頃、国民が望む皇室像について記者に質問された時、
次のように答えておられた。

「即答はできませんが、やはり天皇陛下(昭和天皇)や
両親(上皇・上皇后両陛下)が目指されているように、
国民とともに歩む皇室、国民の中に入って行く皇室だと思います」
(昭和61年7月23日)と。

「国民とともに歩む皇室」からもう一歩、踏み込んで
「国民の中に入って行く皇室」との答え方には、被占領下の
昭和天皇の全国巡幸や、上皇陛下の各地へのご熱心なお出まし等を
踏まえ、更に国民との触れ合いを深めようとされる意気込みすら、
感じ取れる。

ならば国民は、陛下のそのお気持ちにきちんとお応え出来るか、どうか。

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