高森明勅

有識者会議、皇位の安定継承を投げ出し、看板に偽りあり!

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 7月 19日

内閣に設けられた長い名前の有識者会議。

「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対する附帯決議』
に関する有識者会議」。

先頃の、上皇陛下のご譲位を可能にした特例法の附帯決議が、
政府に求めた課題に応える為に設けられたはずだ。

同附帯決議では、政府に対して
「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」についての検討を求めていた。
よって、同有識者会議は“皇位の安定継承”への道筋を探るのが役目。
ところが、それには全く手を着けず、附帯決議それ自体とは何の関係もない、
目先だけ(!)の「皇族数の確保」の為の方策を検討すると言う。

公然たる“任務放棄”以外の何物でもない。
何故、このような体たらくになってしまったか。
現在の皇位継承順位を変更しない、という議論の枠組みを自ら設けたからだ。

皇位の安定継承を本気で追求しようとすれば、
女性・女系天皇への道を切り開くしか方法はない。
女性・女系天皇への道を切り開けば、当然、現在の皇位継承順位を
変更せざるを得ない。

女性で直系の皇嗣つまり皇太子たるべき方が、現におられるからだ。
有識者会議はその事実に直面し、全面撤退を決めてしまった。
これは逆に言えば、少なくとも、皇位の安定継承と
現在の皇位継承順位の維持が、両立し得ない点は、
ちゃんと理解していることを意味する。

しかし、現在の皇位継承順位には、元々無理がある。
傍系の皇嗣であられる秋篠宮殿下が、天皇陛下より僅か
5歳お若いだけなので、畏れ多いが、実際には即位されない
可能性が高いからだ。
ご自身も既にそのことを示唆しておられた。

普通に考えると、現在の継承順位はそのまま行われないだろう。
そうすると、悠仁親王殿下は天皇のお子様ではないお立場のまま、
つまり先代の天皇が、その“お務め”に全身全霊で尽くされるお姿を、
皇嗣として間近に拝する機会を得ないまま、
即位するという順序になりかねない。

端から無理がある継承順位を守る為に、
最も肝心な皇位の安定継承を断念するのは、
本末転倒も甚だしい。

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