大須賀淳

日本を「強く」する事を阻害しているのは高市自民党だ

大須賀淳

2026年2月3日 15:04

昨日の高市首相ポスト。

このポストは、自身の「存立危機事態発言」に端を発する中国のレアアース輸出規制強化に寄せられる不安や批判を緩和させる事が目的と思われます。

 

確かに、世界初の深度からの採取成功は素晴らしい。SNS上では既に「中国なにするものぞ!」発言の素材として消費されています。

 

一方、南鳥島周辺のレアアース試掘に関しては、2012年に発見、2022年に予算盛り込みの方針決定、2023年に技術開発に着手、そして本格的な〝採掘試験〟を来年2027年から始める予定という、非常に長期のスパンを要するもので、今回の採掘成功と、高市発言によるレアアース危機には本来何の関係もありません。

 

数十年の長期を要する事業の途上の一成果を、自身が招いた直近の問題を相対化するレトリックとして用いる態度は、本来「愛国者」を自認する者であれば、この上なく腹立たしい欺瞞としか感じられないはずです。

 

だけど、サナ活にかまける者たちにとっては「高市さん、日本を強くする取り組みをありがとう!」という「養分」になってしまいます。

 

国産レアアースプロジェクトの意義は、長い時間をかけてレアアースの輸入依存度を下げて日本の国力アップを狙うもので、(他のあらゆる技術開発・成長戦略と同じで)まだまだ地道な道のりが必要であり、まだ「実力」にはなっていません。

 

その段階で高市首相がやっているのは、例えるなら先週から空手教室に通い始めた高校生が、ただ道を歩いているだけのヤクザに向かって「俺、空手やっとんねん!」とイキっているようなもの。

 

これは、例え腕力が弱くとも出さなければならない局面がある「気概」とは正反対の、バカの自己顕示欲です。それによって、しっかりした鍛錬の末にヤクザも一目置く武力を備えた存在になるどころか、目をつけられて空手教室に通う(=長期スパンの実力アップ)事さえ邪魔される口実を与えてしまった、という構図です。

 

さらに、レアアースに関しては、先日の記事 「レアアースによるステルス侵攻」という、世界大戦の「前哨戦」 で紹介した通り、鉱脈の有無よりも精錬の工程で生じる放射性物質などの処理の方が、より大きな問題となります。

 

前述の記事を書いてから色々調べてみると、なぜ「国内の事業」に出来なかったのかが本当によくわかりました。例えば、1980年代におきた「ARE(エイジアンレアアース)事件」では、三菱化成株式会社(現在の三菱ケミカル株式会社)がマレーシアで行ったレアアースの精錬事業で、放射性廃棄物の杜撰な管理で従業員や周辺住民に多数の白血病や先天性障害を出すという重大な公害を発生させています。

 

実は日本国内では、1968年の原子炉等規制法改正によって放射性廃棄物の管理が厳格化され、国内でのレアアース精錬事業が困難に。そこで、高度成長由来の経済力にものを言わせて国外(マレーシア)で事業化したものの、(国内でやっていたら日本で起きた可能性の高い)深刻な公害を生んでしまい撤退、といった顛末が存在します。

 

中国がレアアース覇権をとれたのは、人権もへったくれもない体制下で、健康被害も無視した生産体制を行った末のもの。

 

「採算度外視」の国家事業とする事で、より厳密な廃棄物管理を行うと言うのでしょうが、福島の原発事故の後でも原発と地震に関するデータが捏造されるような有り様ですから、とても信頼はおけません。

 

レアアース一つをとっても、「中国にイキるのと引き換えに、国内に、重大な放射性廃棄物被害を生む可能性のある精錬工程を抱える事の是非」のようなものが、本当の決断を持って国民に問いかけるものです。

 

南鳥島のレアアースの件で「日本バンザイ!中国なにするものぞ!」祭りしてた人々の中で、こうした構図を知っていた人、どれぐらい居ますか?

 

…とマウンティングしつつ(笑)、私自身もこのテーマの知識は所詮付け焼き刃。もし「これこれこういう理由で国産レアアース精錬の未来は明るい!」という説得力のあるご意見があれば、ぜひ拝聴したい所です。

 

ものすごく基本的な事ですが、どんな意味においても「強く」なるのって本当に地道に耐え忍ぶ長い時間が必要です。

 

一時的に精神を鼓舞したり麻痺させたりする行為である「イキり」は、その苦痛を緩和させるためのツールに使われがち。「一般的な飲酒」ぐらいの範囲ならまだメリットもありそうですが(酒飲みの言い訳(笑))、アル中レベル、はては一線超えてシャブ中レベルにまで依存したら、もはや「強さ」の対極、同情さえされない絶対弱者の廃人へまっしぐらです。

 

広告コピーで「強い日本」を濫用する高市自民党。その標榜する「強さ」って、中毒患者が白昼夢の中で「オレ最強〜♪」と感じる幻覚と、どこが違うんですか?