高森明勅

イジメ私感

高森明勅

2012年 7月 14日
私には3人の子供がいる。

彼らが小・中学生だった頃、イジメについて3点、言い聞かせていた。

(1)イジメは弱虫がやることだ。絶対にするな。

(2)友達同士じゃれあうのはいいが、これは自分がイジメを受けている、しかも自分の手には余りそうだと感じたら、
すぐ俺に知らせろ。ぐずぐずしていたら、エスカレートして、
相手も自分で自分を止められなくなる。
俺に言えば必ず解決してやる。
それが相手の為にもなる。

(3)周りでイジメを見かけた時も、自分で助けてやれそうなら、
助けてやれ。
自分では無理だと思ったら、俺に教えてくれ。
俺が必ず解決してやる、と。

幸い、我が家の子供たちから、イジメの相談を受けることはなかった。

3人の誰も小・中・高校でイジメらしきものを全然受けなかったとは考えにくいので、些細なトラブルは、
それぞれ自分で解決したのだろう。
社会に出てもイジメはある。

だから、子供のうちに耐性を身に付けておくことが大切だ。

まぁ我が家の場合、母親が猛烈に厳しいので、小学校に上がる前から、ある程度、鍛えられていたとも言えよう。

それでも子供は子供だ。

限度を越えたら、大人が出ていく必要がある。

そんな時、一番頼りになるべきなのは当然、親だろう。

特にイジメのような場合、父親の責任は重いと考えていた。

だから、父親に相談すれば必ず解決してくれる、という信頼感を与えておきたかった。

その為には、自分でもかなり腹を固めていた。

子供の性格にもよるだろうが、我が家の子供たちの場合、そうした安心感があれば、すぐ私に泣きつくのではなく、
自分でやれるところまで、困難に立ち向かっていけると信じていた。

教師は何十人もの子供たちを相手にしている。

その子供たちと接するのも、学校にいる間だけだ。

寝食を共にしている訳では勿論、ない。

しかも、こう言っては語弊があるかも知れないが、所詮は「商売」だ。

我が子を、最後まで責任を持って、育て、守るのは、親以外にない。

そう思って、これまで子供たちと向き合って来た。

その気持ちは、3人の子供たちがよちよち歩きの社会人になったり、大学に通うようになった今も、変わらない。

もとより、子供の成長に伴って、親の「守備」位置が次第に後ろに下がっていくのは、当然だとしても。