小林よしのり

「嫌韓」排外主義はいつ終わる?

小林よしのり

2014年 4月 11日


日本の自称保守たちは「嫌韓」ブームを歓迎している。

産経新聞の論調でも、自称保守のメディアでも、

日本社会の右傾化や排外主義に対する批判を一切しない。

むしろこれを読者に取りこむことを考えている。

 

「嫌韓」は売れる。商売になる。

わしも商売だけ考えるなら「嫌韓」を描いた方が得だろう。

だが絶対にそれはやらない。

差別や排外主義を煽って金儲けすることは「公」に反する。

『差別論』を描いた者として、倫理的に出来ない。

 

今週のSAPIOも華々しく嫌韓特集だ。

わしはもっと「嫌韓」を消費してくれとも思っている。

ブームになったものは消費し尽くさないと終わらない。

「韓流ブーム」のときもイライラしたが、今度は真逆に

振れて「嫌韓ブーム」だ。

真ん中に戻って来る日を待つしかない。

 

「嫌韓」が消費し終わった頃に、わしの『大東亜論』が

数巻出ていて、本物の保守の力を示すことが出来るだろう。

だがその時には、またわしが切り拓いた市場に誰も彼もが

乗り込んで来て、わがもの顔に乱獲しながら、捻じ曲げて

いくのだろう。

ずっとその繰り返しだ。

 

現在の日本社会は右傾化どころか、極右化している。

天皇なきナショナリズムは、公なきナショナリズムだから、

当然、極右化するのである。

日曜日の「ゴー宣道場」には、会場に左翼も右翼も潜入

するかもしれないが、「ゴー宣道場」は「運動」として

やっているのではない。

あくまでも思想し続ける場であることを、忘れないように。