高森明勅

終戦記念日の靖国参拝見送りを中国に報告する愚かさ

高森明勅

2013年 8月 7日
安倍首相は今年の終戦記念日に靖国神社に参拝しないことを決め、
それをわざわざ中国に報告したという。

終戦記念日に参拝しなくても、それはそれで良い。

もともと歴代の首相は、春秋の例大祭のに合わせて参拝して来た。

だから本来なら、4月の春の例大祭の時に参拝すべきだった。

だが、それを見送っても、秋の例大祭にきちんと参拝するなら、
それで良い。

しかし、終戦記念日の参拝見送りを何故、
わざわざ中国に報告する必要があるのか。

そんな必要はさらさらないどころか、むしろそれは、
絶対にやってはならないことだ。

言うまでもなく、首相の靖国神社参拝は、
国難に殉じた英霊に対する国政の最高責任者の「神聖な義務」
として行うもの。

したがって一切、他国の干渉を許さない、
尊厳かつ不可侵の領域に属する。

にも拘らず、こちらから靖国神社に参拝するとかしないということを、
わざわざ他国に報告するとは。

何たる卑屈さか。

「聖域」に自分から他者の土足を踏み入れさせたに等しい。

どこまで中国の顔色を伺えば気が済むのか。

安倍首相は中国の機嫌を取り結びつつ、
その“公認(または黙認)”を得て靖国神社に参拝するつもりなのか。

そんな参拝を、祖国の独立と栄光の為に尊い一命を捧げられた
英霊たちが、僅かでも喜ぶと考えているのだろうか。

だが、参拝見送りまで逐一、中国に報告するようでは今後、
参拝を行う覚悟があるとは到底、思えない。

こんな無様なことをしてしまった以上、もし参拝しても、
それは予め中国の“了解”を得て行った、
と見られるのを避けられないだろう。