小林よしのり

「紀ノ川」は大人の映画だった

小林よしのり

2015年 1月 2日


1966年公開の「紀ノ川」を見たが、なかなか終わらない

と思ったら、3時間近くの大作だった。

明治・大正・昭和を通して、「家」を巡る女3代の人生を

描く映画だが、世代的に名前しか知らなかった司葉子と

いう女優の凄さがようやくわかった。

主人公が最期を迎えるシーンが、なんとも斬新に感じた

のは、いまどきの映画やドラマが荒唐無稽だからという

ことに気づいた。

素晴らしい映画だった。

 

しかしこんな大人の映画が作られることは、いまどきの

映画界ではないだろうし、鑑賞する能力も、今の大衆

にはないだろう。

子供だましみたいな映画ばっかりだから、大人の映画が

見たいと思ったら、過去の名作を探すしかない。

日本人は子供になったなあ。