高森明勅

衆議院の解散は「天皇の国事行為」である

高森明勅

2014年 11月 12日

憲法は、衆議院の解散が天皇の国事行為であることを、
明記している(
第7条)。

天皇陛下の「解散の詔書」によって、はじめてそれは行われ得る。

もちろん、国事行為には内閣の「助言と承認」が欠かせない
(第3条)。

だから事実上、内閣総理大臣が解散の時期を決定出来ることになる。

ならば何故、憲法上、内閣総理大臣“単独”の専権事項とされないのか。

国権の最高機関たるべき国会の衆議院の任期満了前に、
全議員の資格を奪う解散は、国家にとって重大な意味を持つ。

よって、それがその時々の首相の私利私欲、党利党略など、
恣意的な理由によってなされてはならないからだ。

歴史に担保された「公」の究極の体現者で、
国民統合の象徴たる天皇の尊厳と神聖を汚すような振る舞いは、
決してしてはならないという規範意識を、
政治指導者が普通に備えていれば、天皇の国事行為への
助言と承認」にあたり、道を踏み外すことはないはず―
との前提に基づく仕組みと言えよう。

従って、この仕組みが有効に機能するか否かは、
専ら首相の「
公共の利益に奉仕する者」としての、
プライドと嗜みにかかっている。