小林よしのり

バンザイノミクスの虚しさよ

小林よしのり

2014年 11月 9日


日銀黒田総裁の追加緩和を、海外では「バンザイノミクス」と

揶揄しているという。

日本兵が「天皇陛下バンザイ」と叫んでやみくもに玉砕して

いった様子に例えているのだ。

 

ただひたすら短期の株価だけを気にして、怒涛のように

金融緩和をしているのだが、株価と景気は全然連動しない。

それどころか、株価にしても第一次安倍政権の頃は18000円台

だったのだから、「バンザイノミクス」で瞬間的に17000円を

超えたと大騒ぎしても、今はまた16000円台に戻っている。

何にしても株価と景気は関係ない。

 

円安は一部の無国籍企業が、何の生産性もなく、利益のバブル

が出てしまうだけで、日本の大多数の中小零細企業と一般人の

家計に打撃を与えるだけ、結果として消費を冷やすだけなのだ。

 

それでもデフレよりインフレがいいのだと主張する者もいるが、

景気の谷は民主党政権の時代に来てたのであり、政権交代しなく

ても、金融緩和しなくても、どっちみち緩やかにインフレに

転換していただろうという視点が抜けている。

 

そして、円高是正による収益拡大の成果が、一般庶民にまで

「トリクルダウン」してくる現象も、このグローバリズムの中

では絶対に起こらないということは、わしがもう十年以上、

言い続けていることである。