小林よしのり

トマ・ピケティの言う通り

小林よしのり

2014年 9月 15日


「東洋経済」に『21世紀の資本論』を書いたトマ・ピケティ

インタビューが載っていた。

ピケティは3世紀に亘る「所得と資産の歴史」を徹底的に

データで分析し、資本主義というものは放っておくと、

経済成長率よりも資本収益率が高くなり、資本を持つ者にさらに

資本が蓄積していくことを証明したのだ。

 

つまり新自由主義の下では、格差が拡大し続けるのは当然。

アベノミクスで言えば、余裕で株を運用できる1%の富裕層だけに、

ひたすら富が集中するのであり、貧困層はひたすら拡大していく。

 

金融の規制緩和によって、富裕層ばかりが高い利益を売るから、

国の総資産に占める、中間層が保有する資産の割合は減っていく。

中間層は明日にでも貧困に落ちる確率が高い。

中間層の人間なんて、病気一つで貧困層へ、リストラ一発で貧困層

に転落する。

そうなるともう貧困層の世襲になるだけだ。

 

格差社会の不平等は世襲によってさらに拡大する。

日本の場合、1970年から2010年までの期間で、国民所得に対する

民間資本の割合が、戦後の約3倍から、現在では6倍から7倍に

なっている。

つまり経済成長がスローな国ほど、資産の蓄積がより大きくなる。

 

貧困層は教育環境の劣化によって、ネトウヨにしかなれない。

権力に騙されるばかりの貧困層が増えて、富裕層による富裕層の

ための政治になるから、民主主義自体が機能しなくなる。

 

学者が証明してくれるのはありがたいが、小泉政権のときから、

わかってたことではある。

安倍政権になって、アベノミクスで景気回復と、マスコミは

政府とグルになって、デマを流してきたが、実質賃金が

13か月連続で前年同月を下回って、円安誘導したのに、

貿易赤字が7月まで25か月も続いているという惨状だ。

 

政府もマスコミも誤魔化し続けているが、今の景気の鈍すぎる

ジレンマの状態は、消費増税の影響だけではない。

安倍・黒田の目先の株価のための金融緩和は、全く無意味で、

無駄な公共投資で下支えしてるうちに、また維持費だけが嵩む

インフラが残骸のように残っているとニュースになる日が

来るだろう。膨大な国の借金と共に。