高森明勅

憲法解釈、舌の根の乾かないうちに

高森明勅

2014年 6月 20日

安全保障法制整備を巡る与党協議の場で、自民党からにわかに
集団安全保障」への参加容認の話が飛び出した。

これは公明党ならずともビックリ。

何故なら元々、集団安全保障への参加については、
安倍首相自身が安保法制懇の報告書を受け取った
5月15日の記者
会見で、「政府の基本的方向性」として、
次のように述べていたからだ。

これまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しない。
私は憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えません」と。

集団安全保障への参加を明確に否定していたのだ。

それから僅か1ヶ月余り。

それこそ、「舌の根の乾かないうちに」真逆の憲法解釈が
自民党から示されるとは。

一体、どうしたことか?

公明党が予想外に弱腰なので、踏み込めるだけ踏み込もうと、
方針を転換したのか。

それとも一旦、集団安全保障をブチ上げて公明党を驚かせ、
それを“譲歩”
して取り下げることで、
落とし所の集団的自衛権の行使容認への同意を、
確実に取り付けようとしているのか。

いずれにしても、立憲主義の基礎となる憲法解釈の連続性、
整合性に対する配慮が、
見るも無惨に失われようようとしているのは、
確か。

ならば、今、語られている歯止めだの、制限だのが、
何の役にも立つはずがあるまい。