高森明勅

25年目の「6月4日」

高森明勅

2014年 6月 3日

1989年6月4日、中国・北京の天安門広場には
民主化を求める若者が多数、結集していた。

その丸腰の若者たちに人民解放軍の戦車、装甲車、
機関銃を構えた
兵士たちが襲いかかった。

負傷者1万人、死者は千人以上とされる。

言うまでもなく「天安門事件」だ。

あれから既に25年。

世界は大きく変わった。

しかし、だからと言って、あの事件を忘れていいはずがない。

そんな強い気持ちで編まれたと思えるのが、
ニューズウィーク日本版』6月10日号の特集「中国 虐殺の記憶」。

事件当日、銃弾が飛び、悲鳴が聞こえる現場で取材し、
今も北京に留まるメリンダ・
リウ氏の記事をはじめ、
どれも読み応えがある。

それ以上に、当時の写真の数々に目が釘付けになる。

戦車や装甲車は血に餓えた獣と化し、うなりを上げて進み、
すべてを踏みつぶしていた。
みんなのいたテントも、
抵抗する人も、完成したばかりの
『民主の女神像』も」(
メリンダ・リウ)ー