小林よしのり

『卑怯者の島』の話題で盛り上がる

小林よしのり

日々の出来事
2015年 7月 27日


「ゴー宣道場」の打ち合わせで、『卑怯者の島』は映画化できるか、

という話になったが、切通理作氏は日本の映画監督がいつかやら

なきゃダメだと力説していた。

高森さんもクリントイーストウッドを出し抜く映画を撮らなきゃ

だめだと言っていた。

 

だが、わしは無理だと思う。「日本のいちばん長い日」だって

10億もかかったという。

『卑怯者の島』を映画化したら20億くらいかかるのじゃないか?

しかも日本映画はどうしても涙腺の弱い老人向けに、メロドラマ

に仕立て上げる癖があるから、映画化するとクッサ――い筋立てに

変更される恐れがある。

 

日常性をまったく寄せ付けない、あのような最前線の戦場では、

現実と幻想の区別も明瞭にはつかない。

あのモノローグを映画で見ることに耐えられるかと言えば、

かなり難しいだろう。

 

漫画は映画を超えねばならないと思って描いてるから、

「プライベートライアン」を思わせる冒頭シーンでも、

兵士一人一人に関わる家族や恋人の手紙を重ねて、単なる駒じゃ

ないという個人性を感じるように描いた。

始めから映画に出来ない作品を意識してるので、映画化は難しい

と思う。