高森明勅

アメリカは日本を見捨てる

高森明勅

2015年 7月 4日

国防の在り方を巡り、評論家の江崎道朗氏がこんな指摘を。

安倍政権が自主独立を目指すことを明確にしていないがゆえに、
《「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか」という
左翼の意見は真っ当な懸念》と見えてしまう」

日本が本気で自主独立を目指さない限り、言い換えれば、
日本がアメリカに依存している限り、アメリカ軍はいずれ
日本を見捨てる」と。

確かにその通りだろう。

また同氏が引く、アメリカ軍幹部の教本『新しい世界戦略』
陸軍戦略大学教授ハリー・サマーズ)には、
アメリカの本音が率直に披瀝されている。

例えば、
「アメリカは、その国が自分自身で解決しようとしていないことを
助けることはで
きない」

「北ベトナムが…南ベトナムに侵攻してきた際に、
アメリカは約束を果たさなかった。
その理由は…
南ベトナムへの軍事支援は最早、
アメリカの国益に適っていなかったのだ」と。

それは別に、冷酷でも裏切りでもない。

“自国の”国民の為に、国益を最優秀すべき国家として、
極めて合理的で妥当な態度だろう。

いざという時には“必ず”アメリカが助けてくれる、
と他国の軍事力を“切り札”
にした防衛プランなど、
国家の責務を放棄するに
等しい。