高森明勅

テレビの謎

高森明勅

2015年 5月 12日

私はもう長年、テレビとは無縁の生活を続けている。

たまに出演することはあっても、わが家にはテレビ自体がない。

昔、衛星放送でレギュラーやっていた時も、
衛星放送用のアンテナどころか、テレビそれ自体を持っていないのだ。

だから、テレビについて何か発言する資格は、私には一切ない。

そのことを予め断った上で、
素朴に不思議に思ったことを述べてみたい。

活字で読んだお笑いコンビ「爆笑問題」の発言に、
こんなのがあった。

田中祐二氏
今は歌番組でも歌になると視聴率がガクンと下がるから、
トーク中心だもんね」

太田光氏
「だからAKB48でも指原(莉乃)が1位になって
センター獲っちゃうわけでしょ」

「お笑い芸人でもネタやり始めると視聴率落ちますから。
だから最近、ネタ番組無いんですよ」

「(町山智浩氏の『それってネタよりもフリートーク
見たいってこと?』との質問に)厳密に言うと、
スタジオで何かやってても落ちる。

ただ、何かのVTRを見てるのがいちばん数字獲るんです」

要は、スタジオで芸能人たちがVTRを見ながら、
「おー」とか「わー」とか反応していれば、それが一番、
視聴率を獲れるーという話。

 町山氏は
「だからNHKがお笑いのネタ番組やってんだ。
あそこは視聴率関係ないから。
お笑いのネタを見たいと思ったらNHK見るしかないっていう」
コメント。

これは本当なのか?

歌番組でも歌より喋り。

お笑い芸人もネタより喋り。

更に、喋りより「おー」とか「わー」の方が数字を稼ぐとは。

「わー」とか「おー」で良ければ、
そもそも芸能人が出ている意味はどこにある?

不思議だ。

訳が分からない。

もし爆笑問題の発言が事実なら、
歌手が歌唱力に磨きをかけようとか、
お笑い芸人が苦心して傑作ネタを生み出そうといった
モチベーショ
ンを、少なくともテレビによって与えられるなんて、
金輪際ないのでは。