小林よしのり

映像文化は熟年期に入ったか?

小林よしのり

マスコミ・報道
2016年 1月 13日


1月9日の朝日新聞夕刊で、宇野常寛が書いていた「サブカル時評」

が気になったので、記しておく。

宇野は紅白歌合戦とスター・ウォーズの新作を見ていて、同じ違和感

を覚えたという。

それは世界的に「20世紀後半の懐古」が映像文化の主流になりつつ

あるということらしい。

 

紅白は戦後の音楽史のノスタルジーを老若男女が共有する場に

なっていた。

スター・ウォーズも第1作のノスタルジーを現代風にリメイクした

作りだった。

確かにそう言われれば、わしもスター・ウォーズを懐かしさで

楽しんでいたのかもしれない。

紅白に関しては、新しいヒット曲がなくなってしまったから、

懐メロで作るしかなくなったのだろうと思ってはいたが。

 

宇野は映像文化そのものが、戦後のたった数十年の歴史しかもたないが、

それも熟年期にさしかかっているという。

もはや「観客の記憶を温め直す」だけだという。

これはちょっとショックだ。

時代を経て、映像文化はどんどん革新される一方だと思っていたが、

そろそろ限界ということか?

宇野常寛、久しぶりにわしの感性を刺激する見事な文章を書いてくれた。

これは恐るべき見解だと思う。