小林よしのり

「妻妾同居」というタブーは明治にはなかった

小林よしのり

新刊情報
2015年 12月 14日


『大東亜論』「愛国志士、決起ス」が発売されたが、

巻末の「妻妾同居の時代」がまた誤解を生む元となるかもしれない。

 

NHK朝ドラ「あさが来た」でも、結局、史実通りに話を作る気は

ないようで、新次郎と妾との間に子が生まれる件は隠されている。

「妾を持つ」こと自体が視聴者の反発を招きかねないのに、

「妻妾同居」となると、もう畜生の仕業としか思われないだろう。

もっとも穏健な一般視聴者向けの朝ドラでは、「妾を持つ」展開は

タブーかもしれない。

 

けれども、小林よしのりが史実に基づいて、「妻妾同居」への憧れ

を描いたっていいじゃないか!

 

三浦瑠麗氏との対談のときも、わしを「九州の風土と男尊女卑」の

感覚が残るかのように誤解していたが、全面的に誤解でもない。

わし自身の中で、本音と建て前が乖離しており、その葛藤を公に

しながら、男女平等の方に舵を切ろうと努力している真摯な態度を

もっと評価してほしいものだ。

 

妻妾同居の時代」は、わしの本音をさらしながら、ただ懐古して

いるだけという虚しさを吐露している哀しい一本である。

女はわかってくれないだろうが、近ごろは男も分かってくれない

ほどの草食化が進んでいるのかもしれない。

けれどもわしは、あえて近代化した現代のタブーに触れてみた。

これを哀しいユーモアとして、読んでくれる読者がいることを

期待して。