小林よしのり

濃密な漫画を描く

小林よしのり

日々の出来事
2015年 10月 19日


『大東亜論』のコンテを描いているが、「SAPIO」が月刊誌

なので、18ページの中になるべく詰め込もうとしてしまう。

一か月に一回しか読めないのだから、一回読んだらそれで

楽しめるだけの濃密な内容にしたいのだ。

いまどき18ページでこれだけ濃密な漫画も他にあるまい。

 

最近の漫画は一回分では全然ストーリーが進まなくて、

単行本で読むしかない描き方になっている。

単行本もコマが大きいので、あっという間に読んでしまうから、

たちまち何十巻もの作品になってしまう。

一つの作品を何十年もかかって描き上げることになるのだ。

 

そういう漫画の描き方だと、雑誌が売れなくなる。

単行本でまとめ買いした方が、ストーリーが分かるので、

雑誌を買う必要がなくなる。

作家のエゴで言えば、雑誌は買ってくれなくても、単行本

さえ買ってくれればいいのだ。

印税が入らなければ作家は食っていけない。

だがわしは、自分さえよければという人ではないので、

雑誌で楽しめて、単行本で楽しめる漫画を目指している。

 

そもそも手塚治虫なら18ページで一話完結の濃密な漫画を

何百話も描けたのだ。

手塚は何十年もかけて何十巻も続く漫画は描いていない。

その代わり、代表作が何十本もある。

わしはそういう漫画家になりたい。