小林よしのり

日本における民主主義の受容と変容

小林よしのり

日々の出来事
2015年 10月 4日


『大東亜論』で自由民権篇を描いているので、植木枝盛や

中江兆民がどのくらい民主主義の観念を理解していたのか

を知っておかねばならず、ルソーと比較すると全然違っている

と思わざるを得ない。

 

フランスやイギリスやアメリカとの比較を検討しても、

各国バラバラなのだが、それにしても日本の民主化の特殊性は

際立っていて、なにしろ天皇の大権を浸透させることが国民

を作るという矛盾から出発するものだから、原理的には

民主主義というイデオロギーが浸透するはずがない。

 

若者たちが、民主主義とはデモだと断言しているが、一体

何を言っているのか全く分からない。

直接民主制こそが民主主義だと言いたいのなら、まず我々に

徴兵制をと叫ぶしかない。

 

結局は百姓一揆と同じなのだから、彼らとて民主主義など

望んでいないのである。

彼らを称賛するマスコミも知識人も、民主主義など考えても

いないだろうし、彼らを批判する自称保守ネトウヨ勢力に

しても民主主義など関心も持っていないのは見え見えだ。

 

本来的な民主主義の捉え方と、明治からの自由民権運動の

齟齬を、どう評価し直すのかというところまで考慮しながら、

今後の『大東亜論』を描いていく必要がある。

そのためには、もっともっと本を読む必要がある。

思想と史実と物語のバランスをどうとるかが挑戦のしどころ

だろう。