高森明勅

呆れ果てた「西尾・加地」対談(1)

高森明勅

2016年 4月 27日

『WiLL』編集部が新体制に移行して最初の6月号。

一番の“目玉”が西尾幹二・加地伸行両氏の対談
いま再び皇太子さまに諫言申し上げます」。

一読、その内容の酷さに呆れ返った。

無知、不遜、悪意に満ちている。

そもそも、皇太子殿下は日々、
皇室のご公務や祭祀に熱意と責任感を
持って、
誠実かつ精勤に取り組んで下さっている。

その感謝すべき事実を前にして、何故「諫言」
なんぞという不遜な
発想が出てくるのか。

諫言とは言う迄もなく、目上の人を諫(いさ)めること。

対談者の2人は、皇太子殿下についてそうした具体的な事実を
しっかり承知した上で
、かつ相応の覚悟を持って発言しているのか。

とてもそうとは思えない。

まず驚いたのは対談の冒頭、編集者が『週刊文春』
(平成28年1月21日号)の記事を根拠に“
皇后陛下が雅子妃殿下の
不心得を叱りつけた”
という趣旨の発言をしていること。

この記事について宮内庁は抗議したそうですが、スクープ続きの
有力週刊誌の記事だけに『ウソ』
と断じることもできないでしょう」
と。

「宮内庁は抗議した“そう”ですが」とは何たる無責任な言いグサか。

『週刊文春』の記事については、天皇陛下をはじめその場にいらした
皇族方が揃って、事実ではない、
と明確に否定されている。

それを「ウソと断じることもできない」と言ってのけるとは。

これは逆に、天皇陛下や皇族方が「ウソ」を吐(つ)いている、
と断じているに等しい。

不敬この上ない暴言と言う他ないだろう。

同記事への批判は、既に『WiLL』(!)4月号で
私が詳しくやっている。

それも吟味した気配がない。

出だしからこの調子。

殆ど全ページ問題発言のオンパレードだ。

以下、特に看過し難い箇所をいくつか取り上げる。

(続く)