小林よしのり

自由貿易で経済成長なんかできない

小林よしのり

政治・経済
2016年11月20日 12:24


安倍首相がペルーのリマで開幕したAPECで、

「(経済発展や貧富の格差の解消には)開かれた市場と

経済成長の実現が不可欠だ」と言ってるらしい。

首脳会議では保護主義に対抗し、自由貿易体制による

「開かれた経済」を堅持する重要性を確認する見通し

という。

「自由貿易が貧富の格差を広げているとの誤解を解くべきだ」

なんて、しゃかりきに言っている。

トランプがTPPから離脱しそうだから、ますます熱を帯びて

自由貿易のドグマを宣伝している。

 

自由貿易の有効性の根拠はリカードの「比較優位論」しか

ないが、「イギリスは毛織物、ポルトガルがワインに特化して

分業した方が、両国の生産量も利益も増える」という理屈である。

ところが、そもそもイギリスが毛織物を輸出可能な産業に

まで押し上げたのは国家による「保護貿易」の成果である。

 

今や経済学の趨勢は、自由貿易で経済成長が達成されると

いう説を否定している。

「保護貿易」こそが経済を成長させるのだ。

トランプ周辺の者たちはこのことに気づいたのではないか?

 

トランプはリンカーン以来のアメリカの伝統に立ち返って、

関税で自国の産業を守って、まず内需を活性化させるべく、

公共投資に向かおうとしてるのかもしれない。

日本はすっかり遅れている。

 

自由貿易・グローバリズムは「底辺への競争」になって、

中間層を崩壊させ、格差を極限にまで拡大させる。

どうせ「イラク戦争は失敗する」と忠告しても聞かなかった

日本政府だから、負けるまで自由貿易のドグマに浸りきって

しまうのだろうが、馬鹿は死ななきゃ治らないから、

手の施しようがないのだ。