笹幸恵

『君の名は。』ようやく観ました

笹幸恵

2016年 10月 6日

私のアニメ経験は『となりのトトロ』で止まっています。

だから昨今のアニメそのもののことは、よくわかりません。

でも昨日、チャリンコをかっ飛ばして『君の名は。』を

観に行ってきました。

高森先生はまだご覧になっていないようなので

ネタバレしないように、読後感ならぬ観後感のみを。

 

胸がキュンと締め付けられるような切なさを覚えました。

それは高校生の淡い恋心をなぞったからというより、

人とのつながりをもう一度、確認したくなったから

なのだと思います。

単なるセンチメンタルと言えば、その通りかもしれません。

でも果たしてそれだけだろうか、とも思います。

 

君の名は。

「まだ出会ったことのない君」は、

なぜか「私の心の中」にある。

もしかしたら私が生まれる前から脈々と息づいてきた

「何か」かもしれない、とさえ思う。

それは美しい自然の景色なのか。

非合理的な風習なのか。

うっとおしくて息が詰まるような共同体なのか。

それとも連綿と続いてきたこの国の歴史なのか。

あるいはそれらをひっくるめた、
「私」というアイデンティティそのものか。

 

失われつつあるもの(そして失われてしまったもの)への

寂寞と焦燥と恐怖とがないまぜになって、

どうしようもない切なさが沸き起こる。

 

私はその切なさに向かって問いかけます。

君の名は――。

 

すると、ますます切なくなってしまうのです。

 

多分、もう一回、観に行くだろうな。

アニメ作品を、もう一度観たい(それも映画館で)と

思うのは、初めてです。