高森明勅

信なくば…

高森明勅

2017年6月26日 22:00

『論語』に「信なくば立たず」という言葉が出てくる
顔淵第十二篇)。

孔子に門人の子貢が「政治の要諦」を尋ねたやり取りの中に、現れる。

孔子は、政治に大切なものを次の3つだと述べる。

「食物を満ち足らせ、兵備を不足なきように整え、
人民に国の政治を信頼させること」
藤堂明保氏の現代語訳による)と。

これらから1つだけ残すとすれば、
それは“信頼”
だと孔子は断言する。

「信なくば立たず」と。

『論語』には様々な現代語訳がある。
私の手元にあるのは、下村湖人、
金谷治、木村英一、藤堂、
加地伸行など諸氏のもの。
この箇所については、宮崎市定氏の現代語訳が最も端的だろう。
以下の通り。

「人民に信用をなくしたら、それはもう政治ではない」。

ちなみに下村氏の現代語訳ではー
信がなくては、政治の根本が立たない」と。

いずれにせよ、『論語』のこの一節は、
自ずと現在の安倍政権のやり方への最も痛烈な批判になっている。
にも拘らず、先頃、安倍氏本人がこの言葉をしたり顔で口にした。
これには、驚いた。
厚顔無恥も極まれり、と言うべきか。
それとも意味が分かっていないのか。

あるいは、天性の嘘吐きか。