高森明勅

改憲を巡る4つの選択肢

高森明勅

2017年 12月 26日

わが国の憲法を巡って長年、
護憲vs改憲の対立が続いて来た。

護憲派は平和と民主主義、
リベラルな価値を守る事を目指す。

改憲派は日本の自主独立、
ナショナルな価値を取り戻そうとする。

しかし、日本の自主独立を事実上、
断念してでも“改憲”
というポーズだけを取ろうとする、
堕落した「改憲」論が現れた。

自衛隊を「戦力」未満のまま
憲法に書き込もうという提案。

安倍首相が唱える自衛隊加憲論だ。

一方、今の憲法のままでは、
平和と民主主義、リベラルな価値は
守り抜けない事が明らかになった。

その現実を踏まえて、
平和と民主主義、
リベラルな価値を守る為に
必要な改憲に踏み出す意見が出てきた。

しかも、
対米依存=従属にピリオドを打ち、
日本の自主独立を回復しなければ、
国民が望まない戦争を回避できず、
民主主義も十全に機能しない。

だから、
リベラルな価値の追及とナショナルな価値の回復は、
憲法改正という課題の上で決して矛盾しない。

それらをトータルに引き受けようとするのが、
新しく誕生した立憲的改憲という立場だ。

かくて、憲法を巡り4つの選択肢が揃った。

1番目の選択肢は、
これまで通りひたすら
憲法典の字ヅラだけを教条主義的に
守ろうとする、
思考停止型の護憲。

2番目は、
リベラルな価値を顧慮せず、
武力行使のルール化にも無頓着な、
旧来型の改憲。

3番目は、
旧来の改憲が求めていた
ナショナルな価値すら投げ捨てる自衛隊加
憲。

4番目は、
旧来の護憲派の価値観を継承しつつ、
改憲派の価値観をも包摂して、
そもそも憲法が本来果たすべき役割を
取り戻そうとする立憲的改憲

国民は、これらの選択肢から、どれを選ぶのか。