小林よしのり

劣化老人の時代

小林よしのり

日々の出来事
2018年 6月 30日

雑誌も単行本も還暦以上をターゲットにしなければ
売れない。
貯金があって、年金暮らしで、余暇があって、
活字が読める層といえば、もはや還暦以上。
漫画だって「ビッグコミック」までいけば、
読者層は70代かもしれない。

したがって、雑誌は健康記事が売れる、食べては
いけない国産食品リストが売れる、死ぬまでSEX
が売れる。
単行本は老人本ばかりで、死は恐くない、終活の
すすめ、孤独は恐くない、健康は大事、長生きする
方法が売れる。

雑誌を読む下限が40代くらいで、「FLASH」や
「SPA!」の読者層になる。
20代になるともう活字が読めない。
せいぜいネットの短文くらいしか読めない。
情報はすべてスマホからになっている。

情けないことに定年退職した老人たちも、暇がある
からネットに嵌り出して、ネトウヨになってしまう。
老人は「WiLL」や「HAHADA」や「正論」などの、
自己肯定、自己慰撫史観に嵌っていき、余った時間で
ネットでネトウヨ記事を貪ってしまう。

かくして若年層から老人層まで、思想する知力を
無くし、人間が劣化して、国家が迷走する。
若者から老人までが、劣化老人と化してしまう
時代である。