高森明勅

北方領土という「外交の罠」

高森明勅

政治・経済
2019年 3月 29日
北方領土を巡るロシアの本音はどのようなものか。
ロシア語メディア(NTS、3月15日)が
以下のように伝えているとか。
 
「露大統領府筋も外務省筋も、
日本への島の引き渡し計画はないとし、
さらに次のように述べた。
 
大統領の原則は、日本側が受け入れられない
条件を出して日本にそれを拒否させることだ。
露当局は、島の引き渡しを直接拒否することは
『外交的配慮から控えている』。
 
大統領は島の問題を外交手段として
利用しているからだ。
 
つまり平和条約の話し合いを始めたと
見せかけて、実際には他の目的、
つまり経済その他の協力を得ようとしている。
これは古代中国の諺(ことわざ)にも通じる
『外交の罠(わな)』だ。
 
兵法三十六計の第6計は『東声西撃』、
すなわち相手の関心をあらぬ方向に向けさせ、
実際には全く別の目的を追求することにある。
第7計は『無中生有』、すなわち相手に現実的には
何の根拠も無いのに期待(幻想)だけは抱かせることだ」と。
 
安倍首相はプーチン大統領とは
“個人的な信頼関係”があると自慢していた。
地元の山口県に招いて歓待もした。
しかし、まんまと「罠」に嵌まっていただけではないのか。