高森明勅

憲法2条のパラドックス

高森明勅

皇室・皇統問題
2019年 5月 29日

憲法第2条には以下のようにある。

「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した
皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と。

ところが、この条文は(文章自体としては特に問題はないが、実質的に)
明白な矛盾を孕(はら)む。どういうことか。

同条には、2つの要請が含まれている。

1、「皇位は世襲」であるべきこと。
2、皇位の世襲継承は「国会の議決した皇室典範の定める」ルールに従うべきこと。

だが、この2つが両立し得ない。
何故なら、「皇室典範の定める」ルールが、「皇位」の「世襲」を
維持困難にする内容になっているからだ。
すなわち、皇位の継承資格を(明治の皇室典範以来の)
「男系の男子」に限定しながら、その前提として欠かせない
側室による非嫡出の継承を認めて“いない”(明治典範は勿論、認めていた)。

つまり、皇位の世襲を望むならば、皇室典範の(今の)ルールに従ってはならず、
皇室典範のルールに従うならば、皇位の末永い世襲は断念する以外にない。
憲法第2条はこのようなパラドックスを抱えている。
しかし、同条の2つの要請のうち、どちらを優先すべきかは、
改めて言う迄もない。
当然、皇位の世襲だ。

ならば、同条の矛盾を解消し、同条“本来”の趣旨を貫徹する為に
なすべきことは、何か。
それは、ただ1つ。

皇室典範が定める継承ルールの“中身”を、
世襲の維持が可能になるように改めることだ。
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