高森明勅

政府は旧宮家に無関心?

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 2月 5日

やや旧聞に属するが、次のようなニュース。

「政府は1月31日の閣議で、男系男子の旧皇族に関し、
『1947年に皇族の身分を離れた方の子孫の現状は承知していない』とする
答弁書を決定した。立憲民主党の熊谷裕人参院議員の質問主意書に答えた。
政府は現在、安定的な皇位継承の確保策を検討しており、旧皇族の皇籍復帰も
論点になっている」(時事通信1月31日11時32分配信)

記事中で「1947年に皇族の身分を離れた方の子孫」と「旧皇族」を
同義に使っているのは勿論、間違い。
いまだかつて一度も皇族だったことが“ない”人達が対象だから、
皇籍「復帰」という表現も正しくない。
それはともかく、この答弁書をどう受け止めるか。
にわかに事実とは信じにくい。
皇位の安定継承は長年、切実な政治課題とされて来ている。
旧宮家系国民男子の皇籍取得は、様々な困難が指摘され、
又、中長期の安定確保には必ずしも繋がらないものの、
一部にはこれも選択肢になり得るという意見が根強くある。
そうした状況を前提にすると、政府がひょっとしたら検討対象に
なるかも知れない人々の「現状」を、一切「承知していない」とは
考えにくい。

これも、安倍政権にしばしば見られる虚偽・隠蔽だろうか。
政府が虚偽・隠蔽に走る動機も、いくつか想像できる。
逆にこれが事実なら随分、無責任な話だ。
それとも、政府は端から旧宮家系男子の皇籍取得は、
現実的な選択肢にはなり得ないとして、予め除外しているのか。

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