高森明勅

これでいいのか岡山県

高森明勅

その他ニュース
2020年 3月 12日

3月8日に岡山で開催されたゴー宣道場。

この機会に、前後のスケジュールを調整して、
1週間ほど倉敷に滞在するつもりだった。
普段、高齢の母への孝養を尽くせていないので、
しっかり何日か見舞いを重ねたかったからだ。

ところが、新型肺炎の感染の恐れから、
ガラス越しでなければ面会できないという。
それではかえって辛い気持ちにさせかねない。
だから未練を残しながら、道場翌日には帰路についた。

道場開催の前に、倉敷美観地区のはずれにある古本屋
「ムシ(虫が3つ)文庫」を覗き、4冊の本を買った。
又、地元の新刊本屋の宮脇書店で岡山関連書籍を購入。

柴田一氏監修『岡山「地理・地名・地図」の謎』
(平成26年、じっぴコンパクト新書)と
昼間たかし編『地域批評シリーズ24  これでいいのか岡山県』
(平成30年、マイクロマガジン社)だ。

それぞれ、私のような岡山県出身者には興味深い。
例えば、岡山駅前に「桃太郎」の銅像があるなど、
岡山と言えば桃太郎というイメージが様々な場面で
“売り込まれ”ている。

だが、「じつは、岡山と桃太郎が結びついたのは昭和に入ってから。
1930(昭和5)年の出版物で吉備津彦命(きびつひこのみこと)が
桃太郎だという説が発表され、1962(昭和37)年の岡山国体の際に
そのイメージが全国に定着」したという。

あるいは、作家・横溝正史(よこみぞせいし)の
金田一耕助シリーズの中でも有名な『八つ墓村』のモデルは、
岡山県内の大量殺人事件「津山事件」だったが、その事件が起きた
場所は(津山事件と呼ばれているのに)実は“津山”ではなかった
(平成17年の合併後やっと津山に)、等々(どちらも『謎』から)。

『これでいいのかー』を読むと、「岡山県出身の有名人一覧」
という表が掲げられていた。

歴史上の人物も含めて、40人ほどの名前が挙げられている。
鎌倉仏教の臨済宗の開祖・栄西や、浄土宗の開祖・法然、戦国大名の
北条早雲、昭和前期の5・15事件で暗殺された当時の首相・犬養毅(つよし)
などは、歴史教科書にも登場するだろう。
現代では少女漫画家の一条ゆかり氏や俳優のオダギリジョー氏とか。
そんな中に、“神道史家”という肩書きで不肖私の名前も。
どんな手違いだろうか。
私ごときが有名人扱いされるようでは、「これでいいのか岡山県」
と言われてしまうのではないか。

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